老人ホームなので、浴室やキッチンなど家としてのすべての機能を各部屋に持つ必要はない。しかしトイレは最低限外すことができない要素だと考える。私どもが手掛ける施設はできる限り部屋のなかにトイレと洗面台を設けており、カーテンで仕切って使用する。トイレこそが最期まで人としての尊厳を保つための一番重要な要素であるからだ。それ以外の部分は、たとえ自力でできないとしても尊厳にまでは関わらない。たとえば自力で食事ができなくなり人に食べさせてもらうことになっても、そこまでの辛さ、恥ずかしさは感じないだろう。
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老いて行くときに最期まで自分でやりたいのはやはり排泄なのだ。室内にトイレがあれば、自力で用を足すのがずっと容易になる。やがて体が不自由になり介助に頼る日が来ても、自分の部屋のなかであれば恥ずかしさは最小限で済むだろう。服の着脱には介助が必要でも、排泄時にカーテンを閉じれば介助者がそばにいても気にならない。もちろん介助者の負担も、外に連れていくよりずっと少なくすむ。これは私たちが手掛けている一般住宅の場合でも同じで、できるだけ寝室のすぐ隣や、同じ寝室のなかにトイレを設けられるような計画を立てる。建て主がまだ若く、すぐに介護の必要性がない場合も、たとえば押し入れや床の問といった場所を将来トイレに変更できるよう確保しておけば安心だ。